2027年に東京―名古屋間で開業を目指すリニア中央新幹線の県内中間駅の設置場所について、JR東海と飯田市、県などが同市のJR飯田線元善光寺駅の南東に広がる恒川(ごんが)遺跡群を避ける方向で検討していることが29日、複数の関係者への取材で分かった。その場合、リニア駅は元善光寺駅の南西側に設置されるのが有力。元善光寺駅から遠くなるため、リニア駅と飯田線を近接させる新駅の設置も検討されることになりそうだ。 関係者によると、リニア駅は元善光寺駅の南西の同市座光寺―上郷一帯にほぼ東西に設置される見通し。駅に近接して保守設備、天竜川東方の下伊那郡豊丘村方面には変電所が検討されているという。 県考古学会がことし1月、JR東海に同遺跡群の保存を求めた際、JR東海側は遺跡群全域の回避と、飯田市などが望むリニア駅と飯田線の近接は折り合いをつけるのが難しいとの認識を示していた。 市教育委員会によると、同遺跡群には奈良・平安時代の伊那郡の役所「郡衙(ぐんが)」が置かれていた。市は遺跡群全域の史跡指定を検討している。 JR東海は2011年9月に公表したリニアの環境影響評価(アセスメント)方法書で、県内駅位置案として同郡高森町下市田―飯田市座光寺などの直径5キロ円を示し、その後、関係機関が飯田市座光寺付近で調整を進めてきた。(長野県、信濃毎日新聞社)
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