諏訪市郊外の霧ケ峰で28日に起きた大規模火災で、原因となった「火入れ」(野焼き)事業の実行委員会会長を務める山田勝文市長は30日、市議会全員協議会で陳謝した。来年度以降の実施について市長は「しばらくは延期させてもらいたい」と述べ、見合わせる意向を示した。 全協で山田市長は「住民や地権者、観光客に多大なご迷惑をお掛けし、心からおわび申し上げる」と述べた。火災の原因については「突風で予定外に火が燃え広がった」とし、今後開く実行委で防火態勢などについて検証する意向を示した。 市によると、延焼した約154ヘクタールの土地は、諏訪、茅野両市の地元財産区など少なくとも6団体が所有。市は今後、各団体への謝罪と説明に回り、立ち木などの賠償請求があれば対応を検討する。 また、市教委は同日、植物群落が国天然記念物に指定されている踊場(おどりば)湿原(28ヘクタール)の約1割に当たる約3ヘクタールに延焼が及んだとの調査結果を明らかにした。市教委は県教委を通じ文化庁に報告し、専門家も交えて現地の植生調査の実施を検討する。 同湿原は、霧ケ峰の主要な三つの湿原植物群落の一つ。キリガミネヒオウギアヤメなど霧ケ峰で発見・命名されたものを含め、300種以上の植物が確認されている。 霧ケ峰の諏訪市側での火入れは、草原の森林化などを防ごうと2005年、約半世紀ぶりに復活。市や地権者でつくる実行委員会が実施しており、昨年までに計約90ヘクタールを焼いた。7回目となる今回は、同湿原北側の草原約10ヘクタールを焼く計画だったが、強風にあおられ燃え広がった。(長野県、信濃毎日新聞社)
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