県教委は30日、県内の公立学校(小中学校と高校、特別支援学校)を対象にした体罰の実態把握調査の結果をまとめ、昨年度、体罰をした教職員は52人に上ったと発表した。2011年度に体罰を理由にして停職などの懲戒処分や懲戒処分に至らない指導上の措置を受けた教職員は計12人で、4倍余に増えた。52人のうち37人は、大阪市立桜宮高校の生徒が自殺した問題を受け、文部科学省が指示した今回の調査で判明した。県教委は、処分検討中の1人と、この37人を合わせた38人の処分について検討している。 文科省の基準に沿って2月以降、教職員、児童・生徒、保護者から、伝聞情報も含めた体罰被害の用紙を回収して調査。県教委や県次世代サポート課に提出された用紙は計37万7892枚。このうち昨年度分に関し、2117件の体罰の疑いが指摘された。これを基に県教委が、各市町村教委や学校とともに、該当する児童・生徒、教職員、保護者らから聞き取るなどし、52人の体罰を確認した。 内訳は小学校14人、中学校24人、高校13人、特別支援学校1人で、被害を受けた児童・生徒は計135人。県教委によると、授業中に言うことを聞かず騒いだ児童を押して転倒させて膝を擦りむかせたり、授業中に騒いだ児童を平手打ちして鼻血を出させたりした体罰が確認された。 県教委は調査結果を受けて30日、本年度中に新たに全教職員に対し体罰に関する研修を実施することや、児童・生徒、保護者らが相談できる窓口を広く知ってもらえるよう努めると明らかにした。 県教委義務教育課の柳沢厚志課長は県庁で開いた会見で「重大に受け止めている。再発防止に努める」と話した。 県教委は、11年度以前の体罰についても調査中で、体罰の疑いが約1300件あり、詳細に調べて5月下旬に発表する予定だ。部活動の外部コーチによる体罰は昨年度、2人だったと最終確認した(3月の中間発表時と同じ)。 県情報公開・私学課も30日、県内私立学校26校での体罰の実態把握調査の結果を発表。昨年度は、9校の教員計20人の体罰が確認された。(長野県、信濃毎日新聞社)
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