諏訪市郊外の霧ケ峰で28日に起きた大規模火災で、長野地方気象台が諏訪地方では終日平均風速10~15メートルの「やや強い風」が吹くとの予報を同日午前5時の時点で出していたにもかかわらず、火災原因となった「火入れ」(野焼き)実行委員会事務局の市は予報の確認をしていなかったことが30日、分かった。市は「想定外の風が吹いて延焼した」とするが、実施判断の手順に甘さがあった可能性が出ている。 同気象台によると、28日は午前5時に「諏訪地域では西の風やや強く」と予報を出した。「やや強い」の表現は、10分ごとの平均風速が10~15メートルと予想されるときに使用。担当者は「強風は十分見込まれた」とする。予報は電話サービスの他、気象台に24時間常駐する職員に電話で詳細を聞くこともできる。 一方、実行委事務局の市は、同日午前5時に職員が現地で状況を確認。火入れ実施の可否は「経験則で判断している」といい、晴天で無風だったことなどから実施を決めた。事前に天気予報は見たが、気象台への当日の確認は以前からしていないという。 気象庁によると、火入れの点火をした午前8時40分時点で諏訪市の平均風速は0・4メートルだったが、火が強風にあおられて燃え広がった午前9時40分ごろには最大瞬間風速で8・2メートルを観測。午後3時半にはこの日最高となる11・6メートルの風が吹いた。 30日の市議会全員協議会で、事務局を担当する市生活環境課の伊藤幸彦課長は「例年、霧ケ峰で風が強まるのは昼から午後。午前10時前に強風が吹く認識は全く無かった」と説明。その後の取材には、「ほぼ無風のあの時点で中止判断はできなかった」とした上で、「今考えれば(気象台への)確認なども必要だった」と述べた。(長野県、信濃毎日新聞社)
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