旧ユーゴスラビア紛争後のコソボで活動する諏訪郡下諏訪町出身の指揮者、柳沢寿男さん(41)=東京都国分寺市=を招くイベント「戦場に音楽の架け橋を」が6月と7月、塩尻市のレザンホールで開かれる。同市文化振興事業団の主催。紛争で対立したバルカン半島の民族共栄を願い2007年に「バルカン室内管弦楽団」を設立した柳沢さんが指揮する音楽劇や、地元の小中学生、高校生らの合唱などを通じて、音楽が平和に与える力を考える機会にしようと初めて企画した。 7月13日午後2時、音楽イベントを開演。同市の塩尻西小学校、広丘小学校、広陵中学校、塩尻志学館高校、松本市の筑摩野中学校の合唱部員約100人が一緒になって平和を祈る合唱曲「地球星歌」を合唱し、柳沢さんが曲を解説する。 その後、柳沢さん指揮でストラビンスキー作曲の音楽劇「兵士の物語」を上演する。悪魔の誘いで、持っていたバイオリンを「金がなる」本と交換してしまった兵士が数奇な運命をたどる粗筋だ。柳沢さんは「戦争も平和も全部人間がつくってきた。決断がいかに大事か伝えたい」と話している。 東京などで活躍する演奏家たちの「アンサンブル・マーズ!」が演奏する。兵士はお笑いタレントの長井秀和さん、語り手・王女はお笑いタレントの波田陽区さん、悪魔は歌手の鼠(ねずみ)先輩がそれぞれ演じる。堅苦しい雰囲気にしないために―と柳沢さんが配役を考えた。柳沢さんは「旧ユーゴスラビアには、紛争で家や家族を失った人たちに残ったのはユーモアによる笑顔だったとの話がある。ユーモアも平和の底力だと伝えたい」と話す。 また6月9日午後2時から、柳沢さんが「バルカンの火薬庫から音楽の咲き乱れる半島へ」と題した講演会も同ホールで開く。 7月の音楽イベントは全席自由で、一般3千円、高校生以下千円。6月の講演会は入場無料。ともに問い合わせは同ホール(電話0263・53・5503)へ。(長野県、信濃毎日新聞社)
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