3日午後5時20分ごろ、上水内郡信濃町野尻の野尻湖にいた駒沢大学(東京都)吹奏楽部の学生から、男女の学生2人が湖で溺れている、と110番通報があった。2人は野尻湖の貸しボート業者らによって引き上げられ、それぞれ同町と長野市の病院に運ばれたが、男子学生は同7時、女子学生は同7時21分に死亡が確認された。 長野中央署によると、2人はともに吹奏楽部員の3年矢田拓也さん(20)=横浜市、1年野呂千賀子さん(18)=千葉県市川市。同署が、現場にいた学生らに事情聴取するなどして事故の状況や原因を調べている。 吹奏楽部員は計約70人で湖に近い駒沢大の「野尻寮」に滞在していた。同署によると、2人を含む部員約30人が事故の前、複数のボートに分乗して湖上の琵琶島(弁天島)に向かった。2人は他の部員数人と湖に飛び込んで遊んでいたが、浮かんでこなかったという。 貸しボート業者らによると、2人は水深約5メートルの湖底に沈んでおり、矢田さんを午後5時半ごろ、野呂さんを同6時ごろ引き上げた。水温は6度前後で、長野地方気象台によると同5時の同町の気温は8度だった。 事故の知らせを受け、4日未明に野尻寮に駆け付けた吹奏楽部の石原孝哉(こうさい)部長によると、合宿は4月29日~5月5日の予定。野尻寮の寮長によると、3日は午後1~3時に旧野尻湖小学校体育館で地域住民らを招いてコンサートを開き、学生らは同6時に始まる夕食までの予定で湖に出たとみられる。 2日まで合宿に参加し、いったん同町を離れていたという石原部長は、「顧問に就任した約5年前から毎年合宿に参加しているが、学生が湖に飛び込んで遊ぶということは把握していない」と話した。(長野県、信濃毎日新聞社)
↧