災害現場で生存者を捜す救助犬を育てているNPO法人救助犬訓練士協会(神奈川県)は4日、「八ケ岳国際救助犬育成センター」を諏訪郡富士見町落合にオープンさせた。夏涼しく犬が過ごしやすい八ケ岳山麓で、かつて牛を飼っていた施設を訓練場に改修。面積は約8200平方メートルで、「国内でも有数の規模」(同協会)という。救助犬認定の試験会場や、訓練などに使う。 同協会は、富士見町で救助犬の試験を7年前から開いている。協会理事長の村瀬英博さん(60)=神奈川県藤沢市=が、3年前に土地建物を購入。コンクリートの塊や丸太、古タイヤなどを積み上げ災害現場を再現したり、深さ最大3メートルの穴を掘り土管を埋めたりして訓練場にした。 訓練士に従わせるなど基本訓練をする平たんな場所や、牛舎を利用した屋内訓練場もある。牛ふんを堆肥にする建物は犬舎に改装した。国際救助犬の団体が定めた規格を満たしており、国際試験開催が可能という。 同協会は1999年に前身組織が発足し、現在会員は80人ほど。現役の救助犬は約20匹いる。東日本大震災では宮城県に、2006年の土石流災害では岡谷市にも出動した。 開所式には全国の救助犬団体などから約100人が参加。救助犬育成の本場ドイツから講師を招き、訓練技術を学ぶセミナーも開いた。 村瀬さんは「日本は地震大国だが、消防隊員が入れない場所にも行ける救助犬を使う意識が低い。救助犬を育てたい人に施設をどんどん使ってほしい」と話していた。(長野県、信濃毎日新聞社)
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