飯山市と下高井郡木島平村の農家5軒でつくる「雪国パッションフルーツ組合」が、南米原産の果物・パッションフルーツの栽培に挑戦している。豪雪地帯の両市村での栽培は、試行錯誤の連続だ。同組合は、現在採算は取れていないが「将来は地域の特産品に」と意気込んでいる。 パッションフルーツはつる性の熱帯果樹で、同組合によると赤い果実は「大きめの卵大」で重さは80~100グラムほど。「甘酸っぱく女性に人気がある」という。 栽培を始めたきっかけは2011年、農産物の生産から加工・販売まで担う「6次産業化」の担い手育成を目指して国が助成した講座を、同組合メンバーが受講したことだ。講師から「北国では栽培が少ない。成功すれば評判になる」と勧められた。同組合代表の大野峰太郎さん(64)=飯山市瑞穂=は「見たことも食べたこともなかったが、ものは試しとやってみた」と振り返る。 栽培には雪国ならではの大変さがある。パッションフルーツは温暖なら年2回実るが、両市村では1回だけ。冬は苗が枯れないよう、暖房付きのハウスで管理する。それでも同組合の田中初行さん(66)=同=は「仲間と幾つ実がなったとか、食べた感想とかを言い合うのが面白い」と前向きだ。 組合員は5月中旬に苗を畑に移し、9月上旬から10月下旬にかけて実を収穫する。ことしは組合のハウスで苗を約2千株栽培する。大野さんは20アールの畑で300株を栽培する予定だ。うまくいけば1株に10~20個の実がなる。実は近くの直売所で販売したり、加工品の原料用に冷凍保存したりする。つる植物なので夏場の「緑のカーテン」にもなると、苗も販売する。今後は市内の洋菓子店などに加工を提案し、パイやジュース、アイスクリームなどの商品化を目指す。 今のところ「商売にはとてもならない」と大野さん。ただ、「今は悪くてもいつかは良くなる。アピールを続け栽培者を増やしたい」と話している。(長野県、信濃毎日新聞社)
↧