木曽郡王滝村の藤田勝巳さん(32)と普子(ゆきこ)さん(27)が11日、結婚式会場までの村内約1キロを親族や知人ら約30人と歩く「花嫁行列」をした。約60年ぶりに村の伝統が復活。あいにくの雨だったが、多くの村民が沿道に出て2人の門出を祝った。 藤田さんは埼玉県出身。元は森林整備などで村を支援するNPO法人ガイア・イニシアティブ(東京)のスタッフで、自然や人の温かさに引かれ3年前に村に移住し、この4月から村職員になった。普子さんは村出身で、実家の民宿経営に携わる。2人は昨年10月に婚姻届を提出。挙式の準備を進める中で、村では昭和30年代まで花嫁行列が行われていたことを知り、伝統を復活させようと考えた。 行列は村役場に近い普子さんの実家から挙式会場の旅館までをゆっくりと進んだ。出発時と途中の村公民館ではお年寄りらが祝い歌「高い山」で2人を祝福。沿道の村民は「おめでとう」と声を掛けた。森幸子さん(83)は「行列は久しぶり。村を盛り上げてくれてうれしい」と話した。 普子さんは「こんなに村人がいたなんて」と感激した様子。藤田さんは「これから村のために頑張りたい」と、思いを新たにしていた。(長野県、信濃毎日新聞社)
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