中国の程永華駐日大使が11、12両日、県内を訪れ、松本市で阿部守一知事と会談した。知事は、県が中国・河北省との友好提携30周年記念事業として、初めて県内高校生、大学生を含む100人規模の代表団を今秋に同省などに派遣すると表明。中国機による県営松本空港発着のチャーター便を検討しているとし、協力を求めた。県側によると、程大使は「河北省にも同じ気持ちでやってもらえるように伝える」と応じ、昨年9月の沖縄・尖閣諸島国有化以来、冷え込んでいる日中交流の再活性化に意欲を示した。 会談後の取材に、知事は「日中関係が難しい中であっても若い人の交流を中心に進め、先人が積み上げた友好関係を前向きに発展させることで一致できた」と述べた。県などによると、尖閣諸島問題による関係悪化後、程大使が国内地方都市を訪れるのは異例。大使は県営松本空港や北アルプス上高地も視察した。 知事を団長とする県の訪中計画は、同省石家荘市での高校生同士の交流、保定市での河北大学との学術交流などを予定。派遣規模も、県職員や県内の日中友好協会関係者らが主体だったこれまでの訪問団と比べて多く、県によると過去最大級という。 中国とのチャーター便は2011年度の香港との往来を最後に運航がなく、訪中団派遣を機に復活を図る。県によると、中国人観光客らを乗せて松本空港に飛来、訪中団が同じ機体で往復し、国内を観光した中国人客を乗せて帰国する計画。訪中団には昨秋以来、ほぼ途絶えた県内への教育旅行誘致の狙いもある。 このほか、知事は東京電力福島第1原発事故後の中国による県産全食品輸入停止について措置の解除を要請。今後も中国人大学生の県内でのインターンシップ(職業研修)を積極的に受け入れる考えも伝えた。食品問題について大使は本国に伝える考えを示した。知事と大使は11日に会談した。 程大使は、会談に先立ち松本市で開いた松本日中友好協会(相沢孝夫会長)総会で講演。県の訪中団について「協力できることであれば何でも努めていく」と述べた。日中関係については、尖閣諸島問題の原因は日本にあるとの従来の主張を強調した上で、閣僚らの靖国神社参拝や安倍晋三首相の歴史認識も挙げ「実際の行動で中国側と同じ方向に歩み寄り、対話で問題を適切に管理を」と求めた。 講演で程大使は「松本、長野県は懐かしい親しみのある所。日本に留学中、1975年に初めて日本の地方を見学した所が長野県だった」と説明。県と河北省との交流などに触れ「長野、松本の方々は本当に中国との交流促進に熱心だ」と謝意を表した。(長野県、信濃毎日新聞社)
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