22日午前6時ごろ、長野市平柴でイノシシを目撃したと住民から110番通報があった。けが人はいない。長野中央署などが警戒に当たったが、イノシシは見つかっていない。同市内では、西長野で13日朝、安茂里で21日朝にそれぞれイノシシが目撃されており、市消防局が防災無線で注意を呼び掛けている。 同署によると、22日目撃されたイノシシは1頭で体長80~100センチ。午前6時ごろから約20分間に3件、「イノシシが道路を歩いている」といった110番通報が近くの住民からあった。現場は旭山南側の住宅街。近くの山王小学校は、登校時間帯に教員が立ち、安全を確認した。下校時も教職員が、児童に付き添うなどの対応を取る。小柴見保育園も散歩を中止する。 近くの自営業、西沢健一さん(64)は、山林と民家の間の金網フェンスを突き破って走り去るイノシシを目撃したといい、「ものすごい勢いで頭をフェンスに突っ込んでいた」。付近で相次ぐ目撃に、「少し怖いな。(撃退するために)犬を飼ったほうがいいかもしれない」と話した。 13日から相次いだ目撃情報は、今回の平柴を中心に半径約2キロ圏内=地図で、いずれも山林近くの住宅街だ。旭山一帯では近年、イノシシの数が増えているといい、長野地方猟友会(長野市)の小山英雄(ふさお)副会長は「餌の取り合いが起こり、市街地に餌を求めて下りてきている」と推測する。 信大農学部の竹田謙一准教授(応用動物行動学)によると、イノシシの行動範囲は最大で約4キロで、人の目を避けてやぶや川沿いを歩くという。竹田准教授は「人に出会うと驚いて危害を加える可能性があるので、興奮させないようにゆっくりと立ち去るなどしてほしい」としている。 今回相次いだ目撃情報を受け、市森林整備課は「今後、県と対策を協議し、猟友会と一緒に警戒を強めていきたい」としている。(長野県、信濃毎日新聞社)
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