相次ぐ教員不祥事を受けて県教育委員会がつくった有識者による「教職員の不祥事に係る公表ガイドライン検討会議」は27日、県庁で最終となる4回目の会合を開き、教職員の不祥事に関する公表ガイドライン案を決めた。ことし1月、県教委が「懲戒処分等の指針」を変更し、わいせつ事件などで被害者側が求めた場合は処分自体を公表しないこともできる―とした部分は盛り込まず、処分は原則公表する方針に転換した。 この他、ガイドライン案は、わいせつや体罰といった重大な不祥事は県教委の処分前でも公表するなど対象を拡大した。30日以降の県教委定例会で協議し、可決されれば採用される。これに伴い、「指針」のうち1月に変更した部分は事実上、撤回される。 県教委は、県立特別支援学校の寄宿舎で男性指導員(30)=懲戒免職、児童福祉法違反容疑で書類送検=が女子生徒にわいせつな行為をした事件を受けて「指針」を変更した。これに対し、阿部守一知事が「あえて改正の必要があったのか」と疑問視し、教育関係者らから「不祥事隠しにつながる」と批判があり、2月から、弁護士、大学教授、保護者代表の計4人が、新しい公表の基準を検討してきた。 ガイドライン案では、処分者の氏名や学校名が公表される懲戒免職のうち、被害者などが特定される恐れがある場合に限り氏名を匿名とし、学校名も伏せる―とした。また、社会的影響が大きな事件で、報道などで既に氏名などが公になっている場合は、免職以外でも氏名や学校名を公表するとした。 現在の基準では、処分が決定した後に不祥事の事実関係などを公表している。ガイドライン案では、わいせつ、飲酒運転、詐欺など重大な不祥事は、処分の決定前でも「事案の把握と確認をした段階で速やかに公表する」とした。 同会議座長の又坂常人信州大大学院法曹法務研究科長は会合後、「教育行政の不透明感を多少でも透明にできる効果があると期待している」と述べた。 決定を受け、伊藤学司県教育長は「被害者の個人情報などに配慮しつつ、基本的にはしっかり公表していく。ガイドラインが正式に決まれば、県民に『不祥事隠し』の疑念を決して持たれないように運用していきたい」と話した。(長野県、信濃毎日新聞社)
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