善光寺(長野市)一山の住職ら10人の一行が30日、塩尻市宗賀の洗馬宿近くなどで、江戸時代に善光寺にたどり着けずに道中で命を落とした参拝者の墓碑などを巡りながら、善光寺街道の歴史を学んだ。2日間の日程で善光寺街道を訪ねる。 雨が降ったりやんだりする中、一行は民俗・日本思想史家の田中欣一さん(83)=北安曇郡白馬村=を講師に、塩尻市の洗馬宿を出発した。洗馬宿では、中山道と善光寺街道を分岐する常夜灯を見た後、江戸時代の参拝者の墓碑を見学。住職らは線香をあげて般若心経と念仏を唱えた。 田中さんは墓碑前で、「善光寺に304日かけて来る人もいた。生きて帰れないという覚悟で参拝した」と江戸時代の参拝者について説明した。 一行は洗馬宿を後にし、参拝者を家に無料で泊めていた松本市板場の民家などに向かった。31日は東筑摩郡麻績村の福満寺や千曲市の開眼寺などに立ち寄る予定。 善光寺の住職らが、善光寺参りの道中で亡くなった人を追悼するのは初めてだという。同寺寺務総長の若麻績敏隆さん(54)は「江戸時代の参拝者が決死の覚悟でお参りしていたことが分かった。ここで亡くなった人の思いを大切にしていきたい」と話していた。(長野県、信濃毎日新聞社)
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