県農政部は本年度、県産が全国シェア1位のトルコギキョウで、秋季の生産拡大に乗り出す。10、11月はブライダル需要が旺盛だが、県内では気温の低下で、夏場と比べて出荷が大きく減っているのが現状。生産農家のハウスに暖房施設を導入して秋の開花を促し、収穫期を延ばして収入増につなげる。本年度は上伊那地方のモデル農家4戸で試行し、効果を検証して来年度から他地域に拡大する。 農林水産省によると、2012年産トルコギキョウの全国出荷量1億190万本のうち、長野県は1400万本と都道府県別で1位。県内では通常、3月ごろに苗を植えて夏場に収穫しており、夏の産地として知られている。 同年に東京都中央卸売市場に出荷された県産トルコギキョウは計約290万本。7~9月は毎月70万本前後で推移しているが、秋に気温が下がると開花しにくくなり、10月は39万本、11月は9万本と落ち込んだ=グラフ。 秋の出荷を強化しようと収穫期の延長を図る。本年度は、伊那市の3戸、上伊那郡宮田村の1戸をモデル農家に指定。ハウス内にヒートポンプや灯油ボイラーをそれぞれ導入する。室温を開花に必要な13度以上に保ち、10、11月も出荷できる態勢を整える。設備の導入に必要な費用の半額に当たる計約250万円を県が補助する。 灯油代や電気代、販売単価といったデータを集め、県や全農県本部などでつくるプロジェクトチームが生産性を検証。効果をみて参加農家を広げる。10年10、11月に計108万本だった出荷本数を、17年同月に250万本に増やす計画だ。県農政部は、生産できる期間を延ばせば、二期作も可能になるとみている。 涼しくなる10、11月は全国で結婚式の最盛期。白、紫、淡いピンクなどの色合いで、形も華やかなトルコギキョウは、ブーケやテーブルフラワーに人気で、確実な需要がある。県園芸畜産課の丸山秀樹企画幹は「需要に応えて市場の信頼を高めるとともに、生産者の手取り収入を増やしていきたい」としている。(長野県、信濃毎日新聞社)
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