県内全域で発生した4月の凍霜害は県内45市町村に及び、被害額は計35億6200万円余に上ることが4日、県農政部の5月末現在のまとめで分かった。これまで計17億円余としていたが、追跡調査の結果、ナシやリンゴなどが実を付ける時期を迎えて被害の拡大が判明。記録が残る1984(昭和59)年以降の年間被害額と比べ、4月分だけで過去3番目の規模となった。県は6月補正予算案に対策費の計上を検討している。 県内10地方事務所別では、松本がリンゴやナシ、ブドウなどの果樹を中心に被害額約13億1700万円で最大。ナシや特産の干し柿「市田柿」の被害が大きかった下伊那が約10億8300万円で続いた。 市町村別の最大は松本市の計5億9300万円余。飯田市は「市田柿」などで約4億1400万円の被害だった。塩尻市はナシやレタス、長野市はリンゴや桃、アンズの被害を中心にそれぞれ3億円を超えた。 全被害額のうち果樹が33億4千万円余と9割余を占め、アスパラガスやレタスを中心に野菜などは2億2100万円余だった。 今回の調査対象は4月12、13、22、23、29日の計5日間の凍霜害。5月13日時点の集計だと、38市町村で16億4300万円の被害があった4月22日を中心に、5日間で約17億6400万円の被害としていた。 5月下旬にナシやリンゴが実を付け始め、より詳しい被害状況が判明。冷え込みで花が変色、果実が育たなくなったことに加え、県農政部は4月下旬から5月上旬に日中の気温が低かった影響で、受粉が順調に進まなかったことも被害拡大の要因とみている。 県は、被害を受けても収穫につながるよう技術指導を進めている他、市町村からの要望を取りまとめた上で、新たに植える苗や人工授粉用の花粉の購入費補助など対策を検討する方針。(長野県、信濃毎日新聞社)
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