急傾斜地に民家が点在して「日本のチロル」とも呼ばれる飯田市上村下栗地区で、未来の地域づくりを考えようと住民有志によるグループ「郷(さと)の箱舟しもぐり」が発足した。他にはない独自の風土に根差した魅力を生かしながら、ここでの暮らしを継続するための道筋を探る。第1弾の活動として22日には、下栗と交流のある研究者を講師に招いて「下栗の美しさの再発見」をテーマとする講座を地区内で開く。 同グループはことし1月、地元の農家や猟師、木工職人など30~50代の4人で結成した。代表を務める市職員の野牧和将さん(35)は数年前、地元に伝わる「遠山の霜月祭り」(国重要無形民俗文化財)を継承する青年グループ結成に携わるなど、各メンバーはそれぞれ集落の担い手として活動している。 下栗地区では近年、独特の景観が人気を集め観光客が増えている。一方で、少子高齢化は長年の課題だ。野牧さんたちは、古くから受け継がれてきた暮らしの知恵や自然環境を未来につなげるために「下栗を応援してくれる人たちと、持続可能な集落を考えたい」と活動を始めた。 22日は「エコ地元学講座」と銘打ち、下栗総合交流会館で午後3~5時に開催する。下栗と交流がある信州大農学部の上原三知(みさと)助教、名古屋大留学生センターの浮葉正親(うきばまさちか)教授が講師を務める。日当たりの良い南向きの斜面に広がる下栗の立地などに着目しながら、「人と環境にやさしい里づくり」について考える。 住民だけでなく、下栗を応援したい人も参加できる。地区外の人は前日までに野牧さん(電話0260・36・2232)に連絡する。(長野県、信濃毎日新聞社)
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