北アルプス裏銀座縦走路の玄関口、大町市のブナ立(たて)尾根で、夏山シーズンに向けた登山道の手入れが始まった。槍・穂高連峰などの有名コースにはない静けさを味わえる一方、豪雪と崩れやすい土質もあって道直しが欠かせない。山小屋だけでは足りない人手を補おうと、7日、ボランティアらが作業に加わった。 ブナ立尾根は高瀬ダムから標高差1200メートル余を一気に稜線(りょうせん)に突き上げる北ア屈指の急坂だが、ブナなどの大木が林立する美しい道でもある。ここから稜線を北に不動岳、南は真砂岳付近までの登山道整備を代々、烏帽子(えぼし)小屋、野口五郎小屋の上條家が担ってきた。 稜線上はまだ2、3メートルの積雪があるといい、尾根の道直しはダム湖畔からの人力が頼り。この日は10人が木や鉄製のくいなどの補修資材を1人十数キロから30キロ近く担ぎ上げ、露岩で滑りやすい場所にロープを張ったり、崩れた場所に石を埋めてステップにしたりと、登山者が安全に上り下りできるよう作業した。 裏銀座ファンの若手4人も参加。野口五郎小屋の上條盛親(もりちか)さん(68)は「年を取って道直しは年々きつくなる。若手の手伝いは心強い」。ボランティアで初参加した北安曇郡松川村の会社員高原博史さん(33)は「肩に荷が食い込み、登山道整備の大変さが分かった。これからも少しでも手伝いたい」と話していた。(長野県、信濃毎日新聞社)
↧