子宮頸(けい)がんワクチンをめぐり、厚生労働省が接種を積極的に呼び掛けるのを一時中止するよう全国の自治体に勧告したことを受け、県内各市は15日、医療機関への連絡やホームページでの周知などの対応に追われた。集団接種で、原則として半年間に3回必要な接種のうち1回を既に終えた市もあり、各市の担当者からは「国は早く見解を示してほしい」などと困惑する声も漏れた。 「きょうも接種を受ける人がいる可能性がある」。中野市健康福祉部は担当職員ら3人が15日午前7時前に中野保健センターに集まって対応を協議。ワクチン接種を扱う7医療機関を個別に訪れ、積極的に接種を勧めることを中止する方針を文書で伝えた。 諏訪市健康推進課の担当者も「正直戸惑う」。この日は市内の関係23医療機関に対し、接種希望者に対する副作用についての事前説明の徹底などを求める文書を、あらためてファクスした。 信濃毎日新聞社が県内19市を取材したところ、ワクチン接種を扱う医療機関に対し、厚労省の勧告内容などをファクスやメールなどで伝えた市が多くなっている。松本、飯田、小諸、大町、佐久市などは、市ホームページで市民への周知も開始。長野市保健所は17日以降、ワクチン接種を終えていない市内の小学6年生から高校1年生の女子計約5500人に文書を郵送する。 ただ、厚労省は今回、ワクチンの効果を重視する接種希望者のため、原則無料の定期接種からは外さなかった。医療機関に「接種する場合は有効性とリスクを十分説明する」ことを求めた市も多く、対象者に判断が委ねられる。小諸市保健課の平井義人課長は「(接種を)受けるなとも受けろとも言えない。市民もどうしたらいいか戸惑うだろう」と困惑する。 学校での集団接種が既に始まった市もある。須坂市では6月までに、市内4中学校の1年生を対象にした1回目の接種が終了。原則3回の接種は半年間に終えることが必要で、市健康づくり課の担当者は「今回の問題で(次の接種までの)期間が空いてしまった場合はどうなるのか。国は早く見解を示してほしい」と訴えた。(長野県、信濃毎日新聞社)
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