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「大イワナ」量産にめど 県水産試験場開発 県内に出荷計画

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 県水産試験場(安曇野市)は、染色体の数を操作する技術を利用し、通常より肉質が良く大きく育つ養殖イワナの量産化技術にめどを付けた。専用の受精卵を量産する技術の最終試験や、受精卵を得るための親魚の増産を経て、開発した受精卵や稚魚を来年度以降、県内の養殖業者に出荷する計画だ。現在は塩焼きが主流のイワナ料理の幅が刺し身などに広がることが期待できるとしている。  同試験場が開発した養殖魚としては、ニジマスとブラウントラウトを交配させた「信州サーモン」があり、地元食材として県内の飲食店や宿泊施設などが活用している。同試験場は信州サーモンに続く県内水産業の特産品として普及を目指す考えだ。  同試験場によると、通常のイワナは2年ほどで成熟し、産卵期の秋になると雌は卵に栄養を取られて肉質が低下、雄は餌を食べずにやせ細ってしまう。このため養殖業者は通常、成熟前の20センチ程度の大きさで出荷するが、小さいため調理に手間がかかり、身が薄く刺し身などの料理には向かなかったという。  こうした食材としての難点を解消するため、同試験場はイワナの受精卵を温度処理し、通常2組の染色体を3組持つ「3倍体」とする技術を利用。ニジマスなどで実績があるという。3倍体は卵や精子を持たないことが特徴で、産卵期に左右されず肉質の良いイワナを育てることが可能。少なくとも50センチ程度まで育てられる。  3倍体は、通常の養殖時の水温より10~20度高い25~30度のぬるま湯に受精卵を10~20分間浸すと発生する。生存率は低くなるが、95%以上の確率で3倍体にすることも可能だ。体が細くなったり体表が傷ついたりしやすい雄に比べ、商品価値の高い雌だけが生まれるようにすることもできるという。  同試験場は「身がオレンジ色の信州サーモンと並べ、見栄えのする紅白のお造りができる地元産の川魚がほしい」といった飲食業者などからの要望を受け、2008年度から研究を進めてきた。(長野県、信濃毎日新聞社)


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