県立こども病院(安曇野市)は18日、5月に急性胃破裂で救急搬送された北信地方在住の女児(2)の手術に成功し、6月上旬に退院したと発表した。治療が遅れれば命に関わる病気だが、最初の病院の診断からこども病院への搬送がスムーズで、早く手術できたことが救命につながったとしている。 同病院によると、女児は5月中旬、嘔吐(おうと)や強い腹痛などで地域の病院を受診。胃がねじれる短軸型胃軸捻転症(たんじくがたいじくねんてんしょう)による急性胃破裂と診断された。佐久市から飛ばしたドクターヘリでこども病院に搬送、診断から約2時間で、同病院での緊急手術につなげた。 手術では、5センチほど破れた胃の部分を縫い、胃を元の位置に固定した。女児は3週間余りで退院した。小児外科の好沢克副部長(43)は「専門的な術式や術後の管理は当院でないと難しい。もう少し遅かったら命がなかったかもしれないが、スムーズな調整によって救命できた」とした。 短軸型胃軸捻転症は、突然発症し、ねじれることで血流障害を起こす。胃が壊死(えし)して死亡につながる可能性がある緊急性の高い病気という。 同病院は、日頃から県内各地域の中核病院と連携し、小児集中治療室(PICU)で直接連絡を受けたり、小児集中治療科が窓口となり専門診療科につないだりする態勢を築いている。原田順和(よりかず)院長(60)は「救急搬送・医療がうまく機能し、幼い命が救われた事例」とした。 ただ、小児集中治療病床の不足が課題とし、小児集中治療科の松井彦郎部長(44)は「予定手術の患者が(計画通りに)入れない問題に直面している」とした。(長野県、信濃毎日新聞社)
↧