下高井郡山ノ内町は今夏、同町北部の須賀川(すがかわ)区にある倉庫を改修し、農産物や加工品を貯蔵する「雪室(ゆきむろ)」の整備に着手する。降雪量が多い町の特徴を生かした自然エネルギーで、貯蔵品の鮮度を保ったり、熟成させたりする。町は「農産物に付加価値を付け、農業や観光の振興につなげたい」とする。 国道403号沿いにある志賀高原農協(山ノ内町)の倉庫を町が借り、雪室に改修する。倉庫は鉄骨平屋約290平方メートル。壁や床、天井の断熱工事などを8月にも始め、11月末までに終える。総事業費は約3950万円。 雪室の約半分を使い、雪を約150トン貯蔵する。農産物などの貯蔵室は、温度0~5度の約20平方メートルと、同5~10度の約45平方メートルの二つを設ける。湿度は貯蔵室によって異なり70~95%。来年2~3月に雪を入れ、4~10月の間貯蔵できる設計という。 町内の13団体・業者が雪室を利用する予定。貯蔵する物は、玄そば、リンゴ、コメ、ニンジンなどの農産物の他、みそ、漬物、ビールなどさまざまだ。今後、町や利用者らで組織をつくり、雪室を運営していく計画だ。 同施設を設計・監修する公益財団法人雪だるま財団(上越市)によると、県内で農産物を貯蔵するための本格的な雪室整備は珍しい。安定的な低温、高湿度の雪室内で貯蔵することで「みそや漬物をゆっくり熟成でき、おいしさに磨きがかかる」(同財団)といった効果もあるという。(長野県、信濃毎日新聞社)
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