腰や肩、膝などの痛みを心身両面から治療する「心療整形外科」を提唱している県厚生連安曇総合病院(北安曇郡池田町)前副院長の医師谷川浩隆さん(50)=松本市県=が、著書「腰痛をこころで治す―心療整形外科のすすめ」を出版した。腰や肩、膝などの痛みはストレスといった心理的な要因が関係して進行することが多いため、心のケアや治療の大切さを訴えている。 谷川さんは信州大医学部を卒業後、信大病院、安曇総合病院などに勤務。同市里山辺に7月3日、整形外科クリニックを開く。十数年前、腰痛や関節痛の患者の苦痛が心理的な要因で増幅されることに気づいた。以来、精神科や心療内科で使う薬物療法や心理療法を取り入れた心療整形外科を独自に実践。今回、その重要性を多くの患者や医療関係者に知ってほしいと本にまとめた。 腰痛の85%は原因が分からず、ほとんどに心理的要因が関わっているという。そうした実態や体の構造、痛みの治療法を具体例を交えて紹介。医師と患者の信頼関係の大切さも強調している。 日本整形外科学会など関係学会が昨年出した腰痛診療ガイドラインでは初めて心理療法が有効とされたが、診療に取り入れる整形外科医は少ない。「身体の痛みが心の不調を招き、心の不調が痛みを増幅する。普通の治療で治らない場合、心を手当てして痛みを軽くすることを考えてほしい」としている。 「腰痛をこころで治す―」はPHPサイエンス・ワールド新書刊、882円。(長野県、信濃毎日新聞社)
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