旧高遠藩で砲術や儒学を教え、「高遠藩学の祖」とされる阪本天山(1745~1803年)が記した砲台の詳細図や砲術の書物などが、伊那市高遠町の矢沢章一さん(83)宅で見つかった。天山のおいで、後に養子となった俊通(としみち)が学んだ書物とされ、天山の直筆やその写しとみられる。同市高遠町歴史博物館で24日始まった特別展「砲術家阪本天山」で公開している。 矢沢さんは、俊通が生まれた旧高島藩の諏訪市に親族がいた縁で資料を保管。同館が寄託を受け、うち15点を展示した。書物は砲術の手順や、敵陣と対する鉄砲隊の並び方を事例別に記載。9月には、天山が俊通に出した砲術の免許や伝書を天山の子孫が同館に寄贈しており、市教育委員会は「免許皆伝までに弟子が学んだ内容が分かる貴重な資料」としている。 特別展は、天山が開発し、発射角度や方向を変えられる砲台「周発台」の部品や構造を記した書物、天山が計測した弾道図など計85点を展示。初日の式典に出席した俊通から5代目の妻、坂本悠紀子さん(72)=東京都新宿区=は「個人蔵の品が高遠に集まることで資料の歴史的な価値が分かってきた」と話した。 12月16日まで。午前9時~午後5時。高校生以上400円、小中学生200円。毎月曜と11月6、27日休館。(長野県、信濃毎日新聞社)
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