ニホンジカの肉をフライパンで焼き始めると、香ばしいにおいが部屋いっぱいに―。ジビエ(野生鳥獣肉)の特産品を開発しようと28日、ニホンジカの肉を調理した大町市美麻中学校の3年生。慣れない手つきで肉をさばき、1時間余りでハンバーガーや焼きそば、クッキーを試作した。今後も改良を重ね、10月の文化祭で発表する予定だ。 美麻中の総合的な学習の時間の一環で、生徒らは野生動物特有の臭みを消そうと酒やショウガなどを混ぜて工夫した。地元住民でつくる美麻ジビエ振興会会員の合津富吉さん(63)はイノシシ肉の薫製法などを指導した。下味を付けた肉を一度焼いた後、リンゴの木のチップで30分いぶすと、生徒らは「臭みが消えておいしい」「クッキーは肉の味が薄い」などと真剣に意見を交わした。 美麻ではここ数年、シカやイノシシが頻繁に出没し、農作物被害が広がっている。合津さんは「ジビエを通じて地域活性化にも目を向けてくれたらうれしい」と話していた。(長野県、信濃毎日新聞社)
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