伊那市長谷と山梨県南アルプス市境の北沢峠(2032メートル)で29日、「第55回長衛(ちょうえい)祭」があった。雲間から青空ものぞく中、約150人が参加。南ア北部を開拓した故・竹沢長衛(旧長谷村出身)の碑に花を手向け、夏山の安全を祈った。長衛が1930(昭和5)年に峠の山梨側に建て、現所有者の南アルプス市が建て替えた「長衛小屋」の完成式もあった。 長衛小屋は2006年、駒ケ岳(2967メートル)と仙丈ケ岳(3033メートル)の登山拠点として「北沢駒仙小屋」に改称。建て替えを機に元の名称に戻すよう、伊那市が南アルプス市に働き掛けた。 長衛祭実行委員長で「伊那山の会」初代会長の唐木勉さん(86)=伊那市=は、小屋で長衛といろりを囲んだこともあるという。「長衛の名前が戻って涙が出るほどうれしい。『山をでえじに』という長衛の言葉通り、自然を大事に、謙虚に、安全で楽しい登山をしてほしい」と話した。 (長野県、信濃毎日新聞社)
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