東芝(東京)は24日、佐久工場(佐久市)の新型リチウムイオン電池開発機能を、来年3月までに柏崎工場(新潟県柏崎市)に移すと発表した。電気自動車向けを中心に需要が急増してニーズも多様化しているため、量産拠点の柏崎工場に全ての機能を集約し、「開発の効率化とスピードアップ」(東芝広報室)を図る。移転に伴って佐久工場は休眠状態となり、技術者を中心とした従業員約100人は、基本的に柏崎工場へ移る。 同社独自開発の新型リチウムイオン電池「SCiB」は、急速充電が可能のうえ長寿命で、安全性も高いとして、電気自動車や蓄電池向けに需要が拡大している。その一方、納入先の用途によって製品を作り分ける必要性があり、開発のスピードアップが求められるようになったという。 佐久工場は2008年、月産15万個の計画で生産開始。11年2月に月産50万個の能力を持つ柏崎工場の新設に伴い、新製品開発と、開発に伴う少量のサンプル生産に移行していた。少量生産も、ことし11月いっぱいで終了する。 移転後の佐久工場について、東芝広報室は「事業所の閉鎖ではなく、グループとしてどんな活用ができるか検討する」としており、現段階で建物の撤去や敷地(約3万平方メートル)の売却といった計画はないという。 24日、東芝側から説明を受けた佐久市は、佐久工場に残っていたのが開発部門だったことから、地域産業への直接的な影響は「現時点では、出ると考えていない」(商工振興課)と説明。同工場の後利用については「東芝側と今後、連絡を密にしていきたい」としている。(長野県、信濃毎日新聞社)
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