松本市丸の内で震度5強を観測し、市内で1人が死亡、17人が重軽傷を負った「県中部の地震」から30日で2年となった。地震の教訓を生かしていこうと、同市島内の新橋町会(自治会)では同日、住民らが「防災を考える会」を町会公民館で開催。パネル討論を通じ、災害時の情報収集の方法や、食料・水の備蓄について認識を深めた。 新橋町会は約300戸、住民約千人。市南部の震源付近から北に約8キロの位置にあり、建物の壁にひびが入ったり、住宅の塀が崩れたりした。近くのザ・ハーモニーホール(松本市音楽文化ホール)は天井が崩れて使用中止となり、改修を経て、ことし4月に使用が再開されたばかりだ。 パネル討論には、震源付近の芳川小屋町会の宮沢孝紀(たかとし)町会長(71)や市の防災担当職員ら計3人が参加。宮沢さんは地震当日、町会役員を通じて情報収集しようとしたが、連絡の取れる人は数人だったと説明。そのため、昨年8月、住民の安否確認を担う「隣組リーダー」を隣組に1人ずつ置いたことを紹介した。 新橋町会の住民は「隣組リーダーは隣組長と別の人が務めるのか」と質問。宮沢さんは、毎年交代する隣組長と異なり、「(隣組リーダーには)任期はありません」と説明。日中も自宅や自宅近くにいて、すぐに動ける人がふさわしいとした。 考える会は毎年開いているが、川舩昌子(かわふねしょうこ)・新橋町会長は「ことしは、2年前の地震を忘れず、万が一の際に動ける町会を考える内容にした」と話していた。(長野県、信濃毎日新聞社)
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