日本詩吟学院(東京)は2日、短歌形式で、身近な題材をこっけいに詠む和歌「俳諧歌」を吟ずる初の全国大会を諏訪市文化センターで開いた。同学院を作った諏訪市岡村出身の詩吟家、木村岳風(1899~1952年)の生家近くにある記念館の館長、浜岳優(本名・昌弘)さん(78)=諏訪郡下諏訪町=が、俳諧歌の吟じ方を独自に考え広めてきた。県内12団体など全国の愛好家700人余が集まり、練習の成果を披露した。 浜さんによると、以前は同学院で俳諧歌を吟ずることはなかった。浜さんは俳諧歌に興味を持ち、2009年ごろから、声の高低や呼吸のタイミングなどを記号で表した「吟符(ぎんぷ)」を作り始めた。10年に同学院が認可する全国202団体の代表者ら向けに同記念館で研修会を開催。教本も作り、全国での普及に努めてきた。 大会では、小林一茶らが詠んだ課題吟11首の中から、1人で吟ずる「独吟」や5人以上の「合吟」で発表した。諏訪岳風会(諏訪市)の女性28人は小林一茶の「翌(あす)もあり」を伸びやかな声で吟じた。詩吟歴30年以上の主婦、川上文子さん(85)=諏訪市清水=は「大勢の観客がいたので緊張した。新しい曲調で、呼吸を合わせるのが難しかった」と話していた。 大会は来年以降も諏訪市で開く予定だ。浜さんは「自分の思いを歌に乗せて、気軽に吟じてもらえるようになればいい」と願っていた。(長野県、信濃毎日新聞社)
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