日本で最小とされるハッチョウトンボが、長野市信更町で生息しているのを、県自然観察インストラクターの小林友広さん(62)=千曲市=が7日までに確認した。自然環境の良さを示す環境省指定の「指標昆虫」10種の一つで、小林さんによると、長野市内で確認されたのは76年ぶりとみられる。小林さんらは年内に記録をまとめ、信州昆虫学会で報告する予定だ。 ハッチョウトンボは体長2センチ弱で、飛ぶ距離は4キロ程度とされる。県内では中南信が主な生息地。北信では、89年に下水内郡栄村で確認されているほか、93年に下高井郡野沢温泉村、2008年に飯山市で確認されている。長野市内では、長野市誌資料編の中に、1937(昭和12)年8月に飯綱高原で1匹の雄が確認されたと記載されている以外に記録がないという。 小林さんが発見したのは6月16日。同市信更町の休耕田の湿地に生える高さ10センチ余の雑草に止まる真っ赤な1匹の雄が目にとまり、写真を撮影した。姿を一度見失ったが、数分後に元の所に戻ったところを、共同で同市内のトンボの調査をしている同市真島小学校長の小笠原幹夫さん(57)=長野市=も撮影した。今回見つかった場所は、ほかの生息地から遠く離れており、小林さんは「ほかの生息地から飛んできたとは考えにくい」としている。 小林さんは「ハッチョウトンボは長野市内では絶滅したと考えていた。今回見つけた場所の近くに知られていない繁殖地があるのではないか」と推測しており、今後、周辺の調査をしていく予定だ。(長野県、信濃毎日新聞社)
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