飯田市の中心市街地で40カ所を超える町内会が受け継ぐ「祇園祭」を見物する探訪会が14日に行われた。市内の民間研究団体「柳田国男記念伊那民俗学研究所」が、祇園祭が開かれる7月中旬に合わせて初めて企画し、市民ら9人が参加。集会所などに設けられた祭壇などを見て回りながら、地域の伝統に触れた。 探訪会は、祇園祭の会場16カ所を訪れた。会場で津島神社(愛知県津島市)の御札や竹が飾られ、野菜などが供えられた祭壇を見学し、地元の人から祭りの由来を聞いた。 探訪の後、市内から参加した男性(65)は「祭り会場の数が多くて驚いた」。各会場には年配者が多く、若者の姿は少なかったが、同研究所事務局長の松上清志さん(62)=下伊那郡高森町=は「それぞれの町が頑張って祭りを続けているのを感じた」と話していた。 祇園祭は、津島神社に由来する信仰を受け継ぎ、「津島様」とも呼ばれている。当初は疫病よけや、商売繁盛などの願いが込められていたが、今では住民が酒や料理を楽しむといった交流の場となっている。松上さんによると、少なくとも江戸時代末期ごろから続いており、昨年の調査では市街地の46カ所での開催が確認された。(長野県、信濃毎日新聞社)
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