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凍霜害の松川村リンゴ園、常連オーナーの励まし

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 4月の凍霜害で、2002年から続けてきたリンゴオーナー制度の募集を初めて中止した北安曇郡松川村観光協会に協力する6農園に対し、常連客から個別の申し込みが相次いでいる。「多少実が小さくても構わない」といった声が多く、開始以降最多の189人が契約した昨年の8割に迫る申し込みだという。村外のオーナーに励まされた園主らはいま、例年以上の情熱を傾け、手入れをしている。  オーナー制度は例年、村観光協会がリンゴの品質を保証して契約者を募り、参加する村内六つのリンゴ園に振り分ける。各園は各20~60本をオーナー用に提供してきた。同協会は夏に合同開園式を開き、各園は秋に収穫祭を催すなど都市と村の交流の場になっていた。ことしは凍霜害を受けて同協会が募集中止を決め、園主らが6月から顧客に説明し始めた。  ところが、「多少品質が落ちても構わない」と契約を望む反応が各園に寄せられた。協会の集計によると、14日現在、昨年の契約者の7割が継続を希望し、今月末には総数が8割に達しそうだという。  例年六十数本をオーナー用に割り当てている同村川西の梨子田文明さん(66)方では、昨年実績の9割と契約することになりそうだ。自分の木を選びに、既に静岡県や千葉県などから足を運んできた人もいるという。  二十数本をオーナー向けにしている同村川西の遠藤喜郎さん(64)はことし、「玉が小さい上、変形した実が出始めている」と厳しい現実と向き合う。だが、中止を伝えた後、昨年の契約者の7割ほどから依頼があり、品質の挽回に力を注いでいる。  開始当初から毎年、協会に申し込んでいる川崎市の飛田幸雄さん(72)は「リンゴの味もさることながら、園主夫妻の温かな人柄が魅力。遠く信州に親戚ができたようだ」と話す。園主に声を掛け、この秋も夫妻と子ども夫婦3組と2泊3日程度で信州を巡るのを楽しみにしている。  オーナーになって7年目の埼玉県志木市の中野智夫さん(71)は、中止を伝える園主に対し「少しぐらい実が小さくても傷んでいても構わない」と伝えたという。「こんなときこそ、園主を応援したい」  「一時はどうなることかと思った。本当にありがたい」と、園主らは言う。出来の良い実を残す摘果や、日光を実に均等に当てて発色を良くする「玉回し」を小まめにするなど、品質を少しでも高めようと努めている。村観光協会は今月末、実の育ち具合を報告する便りを昨年の申込者全員に郵送する予定だ。  「遠くの人たちとつながっていこうと始めた取り組みの原点を、凍霜害は気付かせてくれた」。遠藤さんは14日、果樹園で作業をしながら、苦境の中で声を掛けてくれたオーナーに応える決意を口にした。(長野県、信濃毎日新聞社)


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