7月に入ってからの猛暑や、それ以前の低温などで野菜が品不足となり、長野県内をはじめ全国で高値が続いている。食品の値上げが相次ぐ中、野菜価格の高止まりを心配する買い物客も多く、県内では17日、野菜の安売りセールを始めるスーパーも出てきた。一方、野菜農家からは「収穫量が落ちて収入増には結び付かない」との嘆きも聞かれる。 青果卸の長野県連合青果(上田市)によると、6月後半から葉物野菜を中心に卸値が上昇。7月1~17日の1キロ当たりの平均の卸値は、キャベツが前年同期より66%高い83円、レタスは65%高の159円など。葉物野菜以外でもピーマンが2・1倍の465円となっている=表。 同社の野菜担当者は「葉物を中心に、7月中旬の卸値としては近年にない高さ」。4月の雪や、その後の低温で生育が遅れ、このところの猛暑で成長が進まず、品薄状態になっている、とする。 17日は、イトーヨーカ堂(東京)が県内3店を含む全国の店舗で集客目的の安売りセールを始めた。アリオ松本店(松本市)では22日までの期間中、ジャガイモやトウモロコシなど16品目をセール前の15~65%引きで日替わりで販売。17日は「開店から客足が途切れない」(担当者)という盛況ぶりだった。 この日夕方、同店を訪れた松本市城山のパート職員上條美千代さん(64)は「野菜の高騰はつらい。安いときにたくさん買っておきたい」と特売のニンジンなどを購入した。安売りセールは、イオン(千葉市)も18~20日、県内12店など全国の店舗で実施する。 一方、通常通り販売している綿半ホームエイド(長野市)では7月に入り、野菜の売り上げが前年同期比2割増。担当者は「家庭で育てる野菜の収穫も遅れ、代わりに購入していく人も多いのではないか」と話す。こうした店では買い物客も頭を悩ませているようで、17日、諏訪市内のスーパーでホウレンソウを買い求めた主婦田中光子さん(62)=諏訪市四賀=は野菜を食べる量を少し減らしていると説明。「夫婦2人で年金暮らしなので厳しい。食べられない野菜の栄養を補うため、野菜ジュースを飲むようにしている」と話した。 生産者も、高値を歓迎するというよりは野菜の生育不良を心配している様子だ。南佐久郡川上村などで葉物野菜を栽培する川上紀夫さん(66)によると、主力のレタスは生育が遅れて小玉傾向といい、「異常な暑さなので水やりに気を使ってきたが、自然にはなかなか勝てない」。塩尻市洗馬でレタスとキャベツを栽培する青柳孝さん(56)も「春先の低温被害に夏の猛暑が加わり、品質が低下したものも少なくない」と話す。 また、南佐久郡南牧村野辺山でレタスを栽培する60代男性は「レタスの卸値は上がっているが、ここ2週間ほど高温で干ばつが続いたため、収穫量は例年の半分程度。収入増には結び付いていない」としている。 野菜の高値はいつまで続くのか―。綿半ホームエイドの担当者は「生育が追い付けば7月後半から落ち着くのではないか」。長野県連合青果の担当者も「雨がしっかり降れば出荷数が増え、月末にかけて卸値が下がってくると思う」と予測している。(長野県、信濃毎日新聞社)
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