下伊那郡阿智村智里にある農業用水路「恩田井水(おんだいすい)」のトンネル「智浪隧道(ちなみずいどう)」(448メートル)工事を請け負った飯田市内の建設会社が19日、貫通点の石を入れたお守りを同村阿智中学校と同郡下條村下條中学校の3年生に贈った。貫通点の石は安産のお守りになるとされ、「難関突破」の意味合いから入試のお守りにもなるという。高校進学などの進路選択を控えた3年生への激励の思いを込めた。 工事を担当した北沢建設(飯田市吾妻町)の北沢資謹(もとのり)社長(56)ら4人がこの日、阿智中を訪れた。3年生81人分のお守りを受け取った生徒会長の岡本滉太(こうた)君(14)は「通学カバンに付けて大切にし、進路などで壁にぶつかっても打ち勝ちたい」。 現在のトンネルの老朽化に伴い、8メートル北側に掘られた新トンネルは、完成すると幅、高さとも1・6メートル。小規模だが、人力に頼る部分が多い難しい工事になっている。地質も悪く、土砂がトンネル内に押し出すこともあったという。 こうした苦労も踏まえ、北沢社長は「貫通石をお守りにし、羽ばたいてほしい。地元の歴史ある土木施設にも関心を持ってほしい」と話した。続いて下條中を訪れ、3年生59人分のお守りを渡した。 1899(明治32)年に完成した恩田井水が運ぶ水は、阿智村伍和(ごか)の農地約60ヘクタールを潤し、下條村の飲料水としても利用されている。このため同社は両村の中学校をお守りの贈り先にした。県発注の今回の工事では、五つの水路トンネル(計1・2キロ)の掘り直しや補強が行われている。(長野県、信濃毎日新聞社)
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