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染色体異常症「18トリソミー」 治療で確実に心身発達

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 短命で成長発達が乏しいなどとして積極的に治療しない医療機関も少なくない先天性の染色体異常症「18トリソミー」について、集中治療や手術をすれば寿命は長くなり心身ともに確実に発達することが19日、信州大病院(松本市)の古庄知己(こしょうともき)・遺伝子診療部准教授(44)らが患者家族会と行った共同調査の結果で分かった。18トリソミーは、ことし4月に国内で始まった新出生前診断の対象の病気の一つ。古庄准教授らは十分な医療を行う必要性を訴えるとともに「診断に携わる医師、看護師、カウンセラーらは、調査結果を参考にしてほしい」と求めている。  古庄准教授によると、18トリソミーに関しては集中治療や手術をしないのが世界的な傾向になっている。海外調査だと、生まれて1年後に生きている割合(1年生存率)は0~10%。日本では、信大病院や県立こども病院(安曇野市)が積極的な治療をするなど対応する病院が増えているが、依然として治療に後ろ向きな病院も少なくないという。  その背景には、18トリソミーの患者が治療を受けて成長していくことなどに関する情報不足がある―とみて、古庄准教授ら国内の医師らが患者家族・遺族約340組でつくる「18トリソミーの会」(事務局・川崎市)と共同調査を企画した。2003~04年に同会会員125組に調査票を送り、88組から回答を得た。その後、約10年かけて古庄准教授が中心となり論文にまとめた。  その結果、全体の36%が集中治療、約半数が人工呼吸や薬物治療を受けるなど、十分な治療を受けた患者が多く、1年生存率は29%、3年生存率は17%と高かった。10年以上の長期生存者も4人おり、歩行器で歩ける人は2人、自力で歩ける人も2人いた。言葉を理解したり、他の子どもの世話をできたりする子もいた。  親の思いを尋ねるアンケート(回答は自由記述)で「子どもが幸せそうに見える時は」との質問には、33%が「遊んでいる時」、31%が「抱き締めている時」と答え、「家族が幸せを感じる時は」との質問に、62%が「いつも」と答えるなど、家族は養育に前向きで、親子の交流がある様子が見えてきた。  「いまも積極的な治療をしない医療機関があるが、治療をすれば予後は良くなるし、ゆっくりだが確実に心身が発達する」と古庄准教授は言う。  18トリソミーの会の桜井浩子代表(千曲市出身)は「医師や看護婦ら医療に関わる人であっても、18トリソミーに出合う機会は少ない」とし、「障害を持って生まれることは、決して不幸ではない。障害を越えたわが子への思いは何にも替え難いということを知ってほしい」と訴えている。  米医学誌アメリカン・ジャーナル・オブ・メディカル・ジェネティクスに発表した。(長野県、信濃毎日新聞社)


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