日本が初参加したマレーシアでの環太平洋連携協定(TPP)交渉会合が終わった25日、県内各党の代表や国会議員には、今後の展開に期待する声と悲観的な見方が交錯した。 「今回の交渉は序章。日本には挽回の余地がある。ハードでタフな交渉を求めたい」。自民党県連会長の吉田博美氏(参院県区)は、農産品などの関税撤廃に関する協議があまり進んでいないことが明らかになったと指摘。「日本だけでなく、各国とも国益を守ろうとして議論が停滞しているのだろう」と推測した。 公明党県本部の太田昌孝代表(県議)は「農業分野などの聖域が守れるのか守れないのかも分からない状況だが、国民と約束した通り、きちんと交渉を進め、守るべきものは守ってほしい」と注文。交渉参加自体は「衆参両選挙を経ており、前向きに進めなければならない」とした。 日本維新の会県総支部代表の宮沢隆仁氏(衆院比例北陸信越)は「世界で日本の交渉力が試される」としつつ、「米国のしたたかさに対抗できなければ政権が追い込まれる事態も考えられる」とも述べた。 みんなの党県第3区支部長の井出庸生氏(同)も「国益を勝ち取る交渉をしてほしい」と求め、秘密保持ルールのため具体的な内容が伝わってこないことについては「政府に責任ある交渉を求めていくしかない」とした。 一方、TPP交渉に反対する民主党県連副代表の篠原孝氏(衆院1区)は「各国は既に3年も前から交渉を続けてきた。遅れて入った日本がルールづくりを主導できるとは到底思えない」と批判。「総勢100人の交渉団は、英語の資料を読み込んで帰ってくることしかできないだろう」と突き放した。 共産党県委員会の今井誠委員長は「自民党は参院選で『重要5品目を守る』と言ったが、現状は他国から攻め込まれたかどうかすら分からない状況だ」と述べ、交渉からの脱退を求めた。 社民党県連の竹内久幸代表(県議)は「自民党は昨年衆院選で『聖域なき関税撤廃』を前提にする限りTPP交渉参加に反対するとしていた。公約違反は明確だ」とした。(長野県、信濃毎日新聞社)
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