伊那市が中央アルプス将棊頭(しょうぎがしら)山(2730メートル)に所有する「西駒山荘」改築の入札が連続して不成立となっていた問題で、市は30日、あらためて入札を行った。2社が応札した1回目、1社が応札した2回目とも予定価格(5412万円)を上回った。市は地方自治法施行令に基づき、入札額が低かった西武建工(伊那市)から見積書を受け、最終的に示された額が5355万円で予定価格を下回ったため、同社と随意契約することで合意した。 市は、入札が連続して不成立となったことを受け、11日の市議会臨時会に、関連事業費2100万円を増額する本年度一般会計補正予算案を提出、賛成多数で可決された。31日にはヘリコプターによる資材運搬の入札を実施し、来夏の新装オープンを目指す。 今回の入札では、主に天候面のリスク、現場滞在費、登下山の経費などをどう捉えるかが課題となった。この日の入札に参加した業者も取材に「天候に左右される部分が一番大きい」と高山帯での工事の難しさを指摘した。市は今後も山小屋関連の工事を予定しており、商工観光部の担当者は「教訓を生かしていきたい」としている。 同山荘は、小説「聖職の碑(いしぶみ)」で知られる1913(大正2)年8月の駒ケ岳遭難の2年後にできた石室(いしむろ)が原型。計画では現在の平屋から2階建てに改築し、石室部分は残す。(長野県、信濃毎日新聞社)
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