個体数が減少する国特別天然記念物のライチョウを保護しようと、信州大の中村浩志名誉教授(鳥類生態学)と環境省などの研究チームは今夏から、専用ケージ(かご)を使ってライチョウのひなを守る取り組みを、松本市と岐阜県高山市境の乗鞍岳(3026メートル)で始めた。 ライチョウは毎年7月中旬ごろにふ化するが、ひなは悪天候で衰弱して死んだり、キツネなどに捕食されたりするケースが多いという。そのため、生後1カ月以内のひなを外敵から守り、成長後に放す計画。 乗鞍岳の標高2770メートルに位置する東大宇宙線研究所乗鞍観測所敷地内の草地に、金網やネットを張った大小三つのケージを設置。大きさは縦2・4~4・5メートル、横1・2~2・7メートル、高さ0・9~1・5メートルで、親子ごとに3組に分けて計18羽を保護した。中にはプランターなどで餌となるガンコウランやクロマメノキなど高山植物を置いた。好天時には外に出しているが、スタッフに慣れており、逃げないという。 ひなは順調に育っており、中村名誉教授は「ひなが1羽も捕食されることなく、うまくいっている」と話し、今後、他の地域でもケージを活用できないか検討するとしている。(長野県、信濃毎日新聞社)
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