国民健康保険料・税の高騰を抑えたり収入不足を穴埋め(赤字補填(ほてん))したりするため、国保特別会計を運営する市町村が独自に決める一般会計からの法定外繰り入れが昨年度、県内77市町村のうち37市町村で計31億6800万円(速報値)に上ったことが27日、県のまとめで分かった。 国保加入者のうち75歳以上が後期高齢者医療制度に移行した2008年度以降で最多。加入者の高齢化に伴う医療費の膨らみ、保険料・税が払えない失業者らの増加などで行き詰まる国保財政の実情があらためて浮かび上がった。 県健康福祉政策課によると、県内市町村の法定外繰り入れは08年度は45市町村の18億2500万円だった。だが、09年度は29市町村の21億7300万円、10年度は33市町村の30億5800万円と、増え続けている。 昨年度の法定外繰り入れのうち赤字補填は27億5700万円(23市町村)で、08年度の10億8700万円(15市町村)の2・5倍に膨らんだ。赤字補填以外は特定健診といった保健事業などに充てており、直営診療施設への法定外繰り入れはなかった。 各市町村の国保特別会計は原則、保険料・税収入と国・都道府県による公費負担のほか、国保法に基づく範囲内での一般会計からの繰り入れや地方交付税措置(ともに法定内繰り入れ)などで運営。一方、各市町村は基金も積み立てており、法定外繰り入れと同様、保険料・税の値上げ抑制や赤字補填などで必要に応じて充当している。 法定外繰り入れが増える背景には、県内でも国保加入者の約半数を60歳以上が占め、1人当たり医療費が08年度は26万5259円だったのが、11年度には29万7461円(速報値)に膨らんでいることがある。無職の人らが増え、保険料収入も減少傾向となっていることも影響している。 厚生労働省は法定外繰り入れについて、「全国的に増加傾向」としている。(長野県、信濃毎日新聞社)
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