2027年の東京―名古屋間の開通を目指すリニア中央新幹線計画で、JR東海は5日、県内路線(約50キロ)のトンネル掘削に伴う残土量が概算で約950万立方メートルに上るとの試算を公表した。東京ドーム7・6個分に相当する膨大な量。残土量が判明したことで、今後、処理方法など県内自治体の対応の在り方について議論が本格化することになる。 沿線6都県で残土量が示されたのは初めて。飯田下伊那地方の市町村と国や県の現地機関などでつくる「リニア中央新幹線建設推進飯伊連絡調整会議」が飯田市内で開いた第5回会合で説明した。 同社によると、残土量の内訳は、天竜川を境に、南アルプスや伊那山地がある東側が約500万立方メートル、同市から木曽郡南木曽町への西側が約450万立方メートル。全体量は、伊那―木曽谷を結ぶ国道361号権兵衛トンネル(4470メートル)の約60万立方メートルに比べ約16倍の量に当たる。 県内路線のうち、天竜川をまたぐ付近以外はほぼ全てがトンネルになるほか、斜坑など作業用のトンネルが複数設けられる。リニアの環境影響評価(アセスメント)方法書では完成時のトンネル断面積は74平方メートル。同社によると、実際に掘削する部分の断面は100平方メートルになることや、掘削後は固まった土がばらけて体積が増えることを踏まえて計算したという。 同社は、今秋にも公表する環境影響評価準備書で、詳細な残土量に加えて、具体的な駅位置や路線を明らかにする。残土量については地元自治体の関心が高いため、事前公表したという。 リニアは来年の着工が見込まれており、県リニア推進振興室は同日、「本格的に土が発生するのは2016年ごろ。土が出始めるまでに万全の体制を整えたい」と説明。県や関係市町村でつくる「建設発生土活用ワーキンググループ(WG)」に国土交通省や同社をメンバーに迎えて、より具体的な検討を進める方針だ。(長野県、信濃毎日新聞社)
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