旧満州(中国東北部)に入植した満蒙(まんもう)開拓団の苦難の歴史を伝える「満蒙開拓平和記念館」(下伊那郡阿智村)は9日、旧満州での犠牲者を悼む初の催し「鎮魂の夕べ」を同館で開いた。旧ソ連軍が旧満州に侵攻した日に合わせて開催。日本人に限らず、戦乱に伴い旧満州で亡くなった人たちに思いを寄せ、平和の誓いを新たにした。 慰霊祭は、同館敷地内の慰霊碑前で開かれ、県内外から元開拓団員ら30人余が参列。館長の河原進さん(67)は「平和を守る決意を持ち、犠牲になった方々に哀悼の意をささげ、ご冥福を祈りたい」と述べた。旧満州の方角となる北東を向いて黙とうをした後、慰霊碑に花を手向けた。 続いて、同館セミナールームで開かれた交流会では、参列者が旧満州で家族らを亡くした体験などを語った。 東筑摩郡麻績村出身の元開拓団員、野田稲(いね)さん(81)=大阪府東大阪市=は現地で両親と弟を亡くした。「満州では満足に葬ってあげることもできなかった。思いを形にすることができてありがたい」と話していた。(長野県、信濃毎日新聞社)
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