登山同行者ネットで知り合う　中ア宝剣岳の滑落女性

　中央アルプス宝剣岳付近で４日に大阪府の女性（３５）が滑落死した遭難事故で、女性と同行の４人はインターネットのコミュニティーサイトを通じて知り合ったことが９日、救助関係者への取材で分かった。同行者は女性をニックネームで呼んでおり、この女性の本名を知らなかったという。 　女性は、他の女性１人と男性３人と大阪から車１台で訪れ、４日早朝に千畳敷から日帰りの予定で入山。駒ケ岳から宝剣岳へ縦走し、全員で岩場を登っていた時、登り切った女性が反対側に約２０メートル滑落した。 　救助関係者によると、５人は３０～４０代。リーダーの男性がコミュニティーサイト上で今回の登山を呼び掛けた。この５人が集まったのは初めてで、登山計画書は出ていなかった。 　ネットの掲示板やソーシャル・ネットワーキング・サービス（ＳＮＳ）には山仲間を募る書き込みが少なくない。目指す山と日程を示し「同行してくれる人いませんか」と呼び掛けたり、必要な装備やルートの難易度など条件を示して募ったりしている。「○○に登ります。注意した方が良いことを教えてください」「雷雨に十分気をつけて」などと情報交換も盛んだ。約３万人が集っていると記載しているサイトもある。 　７月下旬、北アルプス上高地から涸沢に登っていた神奈川県の３０代男性会社員は、３年前からＳＮＳの「ミクシィ」で登山のコミュニティーに入ったという。「人脈が広がった。仕事柄平日が休みなので、コミュニティーに入っていれば仲間を募りやすい」。仲間とは基本的にあだ名で呼び合っているという。 　県警地域課によると、ネットで知り合った人同士での登山は目立ってきている。県内の山岳遭難防止対策協会の関係者は「２、３年前から全般的に増えていると感じる。時代の流れなので善しあしは言えないが、互いの力量や知識が詳しく推し量れていない部分もあるかもしれない」と話している。（長野県、信濃毎日新聞社）