甲子園球場で11日に行われた第95回全国高校野球選手権大会1回戦。初出場した上田西高校(上田市)の応援スタンドは、上田市ゆかりの戦国武将真田氏の甲冑(かっちゅう)「赤備(あかぞな)え」にちなみ、赤色に染まった。夜行バス50台余で駆け付けた全校生徒と卒業生、市民ら計約2千人は、赤い帽子とタオルを身にまとい、熱い声援を送った。 この日に向けて、部員14人の吹奏楽部は、卒業生らも参加して40人余に増強。チアリーダー部も県大会優勝後、希望者が加わり8人から33人になった。応援は、硬式野球部3年御子柴(みこしば)健斗君(17)が中心となって2日の壮行会以降、全校生徒と体育館で練習を重ねてきた。上田市の姉妹都市で真田氏にゆかりがある和歌山県九度山町から岡本章町長と町民約80人が「援軍」として駆け付けた。 対戦した木更津総合高校(千葉)から四回に先制すると、スタンドは大盛り上がり。同部保護者会長の町田公平さん(48)=埴科郡坂城町中之条=は「この調子で1点ずつ積み重ねれば大丈夫」。五回に逆転されて柳沢和希投手(17)が救援のマウンドに上がると、同部が1997年に初めて長野大会決勝に進んだ年の3年生の一団から「柳沢コール」が始まった。当時主将だった会社員山本博司さん(34)=中野市田麦=は「自分たちも行きたかった最高の舞台。連れてきてくれてうれしい」と話した。 5点を追う九回に反撃が始まると、割れんばかりの歓声とメガホンの音が響いた。惜しくも5―7で敗れたが、03年の同部2度目の長野大会決勝で右翼手だった団体職員松本裕樹(ゆうき)さん(27)=長野市北長池=は「自分たちの分もよくやってくれた。胸を張ってほしい」と温かな拍手を送った。 スタンドで応援した部員の3年川上玄貴(げんき)君(17)は応援団長の3年関晃佑(こうすけ)君(18)に駆け寄り、「まだ終わりたくなかったけれど、全力で応援できた。最高の団長だった」と声を掛けた。関君は「3年間この仲間とやってきて良かった」と2人は涙を流しながら固く手を握り合った。(長野県、信濃毎日新聞社)
↧