県が進めている県庁(長野市)の耐震改修工事で、本館棟を部分的に解体する作業を進めていた際、鉄筋コンクリートの支柱が欠けているなどの不具合が見つかり、17日までに補修を終えた。県は耐震改修工事費を約1億3千万円上乗せする契約変更を行って補修などを実施。安全性に問題はないとしている。 本館棟は1967(昭和42)年に完成し、地上10階、地下1階建て延べ約3万5900平方メートル。94年に行った耐震診断の結果、震度6の揺れで倒壊する恐れがあるとされた。県は耐震化の事業費について議会棟(68年築)と合わせて総額47億円余としていたが、今回の契約変更の他、別の電気設備工事の契約変更などで同50億円余に増える見通し。耐震改修の来年3月の完了予定は変わらないという。 県施設課によると、地下1階の支柱52本に免震装置を取り付ける工事に伴い、柱を部分的に解体する作業をしていたところ、柱内部が空洞化するなどの欠損が10本余で見つかった。建設当時にコンクリート打設が不十分だった施工不良か、経年劣化が原因として考えられるという。同じ階の南側の壁では亀裂、地上1階の鉄骨の柱2本では腐食も見つかった。 このため7月に契約を変更して地下1階の支柱や壁は補修し、地上1階の支柱は取り換えた。 いずれも工事に伴う解体作業がなければ見つからなかった不具合という。同課は今回の事態を「予測しておらず、工事費の増額はやむを得なかった」と説明。「既に補修などを行い、(耐震化後の本館棟は)震度6強の揺れにも十分耐えられる」としている。(長野県、信濃毎日新聞社)
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