南アルプスを国連教育科学文化機関(ユネスコ)の「エコパーク」に登録するため、伊那市、飯田市、下伊那郡大鹿村、諏訪郡富士見町と山梨、静岡両県の6市町の首長らが17日、山梨県南アルプス市で基本合意を結んだ。自然環境の持続的な保全管理と利用・活用など登録の目的や実現に向けた施策を明文化。3県にまたがる南アのエコパーク登録後の運営に、10市町村が将来にわたり共同で責任を持って当たることを明確にした。 合意書によると、主要施策は、鳥獣被害対策を含む自然環境保全や登山環境整備、南ア山麓への定住や地域間交流の促進、エコパークの管理運営体制の確立など。10市町村が共通認識を保持するための憲章の策定、各地域の情報発信も盛り込んだ。 10市町村は南アの世界自然遺産登録推進協議会をつくり、自然遺産登録の前段としてエコパーク登録を目指している。協議会内のエコパーク推進部会が4月、申請書の素案を国内窓口の文部科学省に提出した。部会事務局の南アルプス市によると、9月に日本ユネスコ国内委員会MAB(人間と生物圏)計画分科会が申請書を審査。その結果によって、政府がユネスコ本部へ推薦書を提出する。 この日は同部会の会合もあり、エコパーク登録検討委員会委員長の増沢武弘・静岡大理学部特任教授は「南アは広大で、関係省庁は10市町村が一つになれるかを一番心配している。今日の合意は大きなステップだ」と述べた。(長野県、信濃毎日新聞社)
↧