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ブナ遺伝子に沿って植樹を 不適地では生育悪く

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 遺伝子的に「日本海側」「太平洋側」に大別されるブナを、植樹などで遺伝子に合わない場所に植えると、枝の先の方が枯れるなど生育が悪くなることが、県林業総合センター(塩尻市)の研究で分かった。研究を担当した元同センター主任研究員で県信州の木振興課の小山泰弘さん(46)=塩尻市=は「元からあるブナと交配することで子の代も環境に弱くなり、それを繰り返すうち徐々にブナ林全体が弱っていく可能性もある」とし、植樹などでの注意を呼び掛けている。  小山さんによると、日本海側タイプは雪が多い地域に原生し、太平洋側タイプは雪が少ない地域に原生する。県内で日本海側タイプが原生するのは北部で、中南部は太平洋側タイプとなっている。  研究では、下高井郡野沢温泉村の日本海側タイプと山梨県山中湖の太平洋側タイプの種子を採取し、3年間松本市の同じ場所で栽培。2009年6月、日本海側タイプの適地の下水内郡栄村、太平洋側タイプの適地の南佐久郡小海町、当時はどちらの適地か分かっていなかった塩尻市―の3カ所に、両タイプの苗を50~100本余を植え、2年3カ月生育を調べた。  栄村で健全に生育したのは、日本海側が7割に対し、太平洋側が1割未満。一方、小海町では、太平洋側が6割余、日本海側が1割余、塩尻市では太平洋側約8割、日本海側2割余となった。小山さんは、環境に合わない遺伝子を持ったタイプが育って交配した場合、「善意で行った植樹が森を壊す結果になる可能性もある」と指摘する。  明治時代から造林の主流だった針葉樹は、苗木を移動させることで気候条件に合わず生育が悪くなることが早くから指摘され、林業種苗法で種苗の配布区域が定められている。一方、ブナなどの広葉樹の造林は1980年代ごろからと歴史が浅く、種苗を移動させた場合の影響などについてはよく分かっていない。小山さんは「種苗の移動をある程度は制限する必要がある」としている。(長野県、信濃毎日新聞社)


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