県の諏訪湖流域下水道豊田終末処理場(諏訪市)で出る金を含む汚泥焼却灰から放射性セシウムが検出され、業者への売却単価が下がったのは、東京電力福島第1原発事故の影響だとして、県が東電に賠償を求め、約810万円が支払われたことが23日、分かった。 賠償されたのは2011年11月入札分で、汚泥焼却灰を溶融炉で溶かした際に出る溶融飛灰や、溶融炉の煙突に付着する灰を固めた煙道スラグなど4品目計222・3トン。県生活排水課などによると、溶融飛灰から1キロ当たり最大1400ベクレルの放射性セシウムが検出され、県外の業者1社が4品目のうち金を含む割合が多い溶融飛灰と煙道スラグを617万円で落札した。 同課などによると、原発事故前の10年売却分に比べ、溶融飛灰の1トン当たり単価は42万円、煙道スラグは757万円減少。売れ残った品目の賠償額と合わせた計750万円に、放射性物質検査費などを加えた約810万円を6月に請求し、7月4日に東電から支払われた。 一方、昨年12月に入札公告した溶融飛灰5・1トンと煙道スラグ0・3トンは買い手が付かなかった。灰を精錬して金を取り出した後の「残さ」は購入業者に処理責任があるが、精錬課程で放射性物質が残さに濃縮。同課は「11年の購入業者は残さの引き取り先確保に苦慮し、今回は応札しなかったようだ」としている。 県は今年6月の検査で煙道スラグの放射能濃度が1キロ当たり同810ベクレルまで減少し、他品目も減少傾向にあるため入札は続ける意向。だが、「業者がどう判断するか分からない」(県諏訪湖流域下水道事務所)と説明。単価が戻らなかったり、入札不調が続いたりした場合、今後も賠償請求する方針だ。(長野県、信濃毎日新聞社)
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