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TPPでどうなる果汁関税 県内農家ら募る不安

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 ブルネイで閣僚会合が開かれた環太平洋連携協定(TPP)の関税協議で、日本が他国産の果汁に課す関税が引き下げとなった場合の影響について、県内農業関係者に懸念が広がっている。果汁は、コメや麦など日本が関税撤廃の例外化を目指す重要5品目に含まれていない。安価な海外産が流入すれば、県主力産品の果樹の需要が食われかねず、生産者の危機感は根強い。  輸入される果汁について日本が定めている関税(従量税除く)は、リンゴが最大34%で生果の2倍。ブドウも同29・8%と、生果の同17%を大きく上回る。生果は品質面で国産品の競争力が高いが、果汁は差をつけにくい。リンゴ、ブドウはともに長野県が全国シェア2位(2012年産)で、安い果汁が流入した場合、県産品の需要への影響が予想される。  ジュースなどの加工用は、ひょう害などで傷んだり、形が悪くなったりした果実の受け皿にもなる。長野市篠ノ井岡田のリンゴ専業農家太田宗弘さん(69)は「加工用で得ていた収入の下支えがなくなってしまう」と懸念する。  農林水産省によると、12年のリンゴジュースの国別輸入額は、中国、オーストリアに次いでTPP交渉参加国のチリが3位。ブドウジュースはアルゼンチンに次ぎ、米国が2位、チリが3位とTPP交渉参加国の比重は大きい。  県農協グループは6月、TPP参加で関税を全面撤廃した場合の県内農林水産物への影響試算を発表。11年に259億円あったリンゴ産出額は110億円減り、109億円だったブドウは35億円減少する―とした。試算した鈴木宣弘・東大大学院教授(農業経済学)は、安い海外産果汁が輸入されれば、国内の加工向け、生果ともに需要が減少すると分析している。  現在は輸入果汁を菓子や飲料に使っても原産地を表示する義務はなく、太田さんは「国は果汁について原産地の表示義務を制度化すべきだ」と指摘。県果樹研究会(須坂市)の坂口勝会長は、安い海外産を使う国内飲料メーカーが増えることを懸念し、生産者が製造委託などで自らジュースを販売するなど対抗策を模索すべきだとしている。(長野県、信濃毎日新聞社)


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