学校法人「才教学園」が2004年に才教学園小、中学校(松本市)の開校認可を県に申請した際、採用予定の教員に中学校の技術の免許を持つ教員がおらず、県が免許のない教員でも限定的に教えられる「免許外教科担任」の許可を得るよう指導していたことが23日、分かった。同学園は指導に従い、その後開校認可を受けたが、07年度以降は教員延べ6人の許可を得ず、免許のない教科を教員に教えさせる教育職員免許法違反を繰り返していた。 同学園の松山治邦教頭(23日付で退任)は取材に、「県の指導を受けて(免許外教科担任の)許可の仕組みは知っていた」と認める一方、07年度以降の許可を得なかった理由を「事務処理に追われ、申請を忘れた」と説明した。松山教頭は同法違反についてこれまで、「法律に違反するとは知らなかった」と釈明していた。 免許外教科担任制度は同法に規定があり、へき地、小規模などの理由で全科目の教員をそろえるのが困難な学校は、県教委の許可で1年に限り免許外の科目でも教えることができる。 県と松山教頭によると、同学園は04年6月に就任予定の教員リストを県に提出。県の指摘を受け、中学校数学の免許を持つ教員が技術を担当する許可を受ける予定―として開設認可を得た。 しかし、県によると、同学園は07、08、09、13年度の教員延べ6人について、許可を得ずに中学校保健体育の教員に技術を担当させたり、国語の教員に社会を教えさせたりした。 県情報公開・私学課の久保田俊一課長は、免許外教科担任制度について「教員の経験や知識を考慮し、適切な授業ができると判断した場合にだけ認めている」とし、「教育の質を保つためにも事前に許可を得ることが必ず必要。学園側の対応には大きな問題がある」としている。 同学園では、中学、高校の免許しかない教員に小学校の学級担任をさせたり、小学校の教員免許しかない教員に中学校の授業を担当させたりする同法違反も判明している。(長野県、信濃毎日新聞社)
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