諏訪市湖南(こなみ)の後山(うしろやま)地区で昔から栽培されてきた「地大根(じだいこん)」が、県の認定する「信州の伝統野菜」の候補に挙がり、30日、認定委員会の大井美知男委員長(信大農学部教授)らが現地調査に訪れた。地大根は、同地区で少なくとも大正時代には作られていたとされ、現在は約10世帯が自家用に栽培している。 調査は、県諏訪農業改良普及センターの職員が、同地区の大根は地域独自の品種の可能性がある―と認定委に情報提供したのがきっかけ。住民や同センターによると、地大根は長さ20~25センチ、直径5~6センチ。地面から出た首部分が緑色で細く、下部がやや膨らんでいる。水分が少なく堅めで、主に漬物にするという。 この日は大井委員長ら3人が畑を視察し、生産者10人から栽培方法、食べ方などを聞いた。遠藤チサ子さん(80)は「(地区内の実家から)嫁ぐ前から作っていた。『後山の大根でないといい味が出ない』と喜ばれ、昔は馬に載せて(市街地の)上諏訪の個人宅へ売りに行った」と話す。 住民によると、かつては市場にも出荷し、同市豊田上野地区の伝統野菜「上野大根」と同様人気があったが、次第に収入が見込めなくなり、自家用だけになった。種は各家で育てた大根から取り、途切れずに栽培してきたという。 大井委員長は「系統は信州地大根で、上野大根や戸隠大根と元は同じかもしれない」と指摘。今後、選定基準に沿って審議する。認定されれば諏訪地方では4種類となる。(長野県、信濃毎日新聞社)
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