松本ハイランド農協(本所・松本市)は12月、東日本大震災で津波被害を受けた宮城県石巻市に本所がある「いしのまき農協」と、大規模災害時に物資の融通やボランティア支援で協力することなどを盛った「姉妹協定」を結ぶ。協力して災害対策を強化するほか、松本から大震災被災地の農業復興を継続的に支援していく。長野県農協中央会(長野市)によると、県内の単位農協が県外農協と災害時の対応を含めた協定を結ぶのは珍しいという。 農家女性でつくる両農協の女性部が昨夏以降、生涯学習活動などで訪問し合って交流してきたことがきっかけ。今年1月に役員や幹部職員らの往来も始まり、交流を農協活動全体に広げようと、協定の話が持ち上がった。協定内容は検討中だが、災害時の相互支援のほか、農畜産物などの販売協力、農協職員の人事交流が挙がっている。12月中旬に宮城県で締結する予定。 農産物販売などの取り組みは、協定に先立って活発化している。8月21日には松本ハイランド農協の約20人が石巻市の約400世帯が暮らす仮設住宅を訪れ、松本産スイカを住民に振る舞った。9月末には松本地方の農産物直売所3カ所が石巻産農水産物の「フェア」を開く計画だ。 いしのまき農協は石巻市、東松島市、女川町の3市町を管内とし、組合員は松本ハイランド農協の半数強に当たる約1万7千人。コメのササニシキをはじめ、野菜や花きなど多様な農業を展開しているが、農地が津波で海水を被り、現在も4割ほどが利用できないという。 いしのまき農協は「農業交流を一層深めたい」(総務課)。松本ハイランド農協は「今後の災害に協力して備えていきたい」(総合企画課)と期待している。(長野県、信濃毎日新聞社)
↧